【こどもいろメソッド(統合的発達理解フレーム)】
≪こどもいろメソッドとは≫(全体像・要約)
こどもいろメソッドは、子ども一人ひとりの「心・体・考え・行動・関係・環境」そして「過去・現在・未来」を切り離さずに捉えるための支援の考え方です。その中で、発達心理学・教育心理学・エコロジカルモデル等の理論を日々の実践を通して見直し、整理し、練り上げながら結び付け統合した支援の考え方です。こうした考え方は、保育所保育指針、幼稚園教育指導資料、特別支援学校の自立活動、児童発達支援・放課後等デイサービスの各ガイドラインでは、これまでも一貫して「一人一人に応じた支援」「育ちの連続性」「家庭との連携」「記録と評価による質の向上」が大切にされてきました。
一方で現場では、「大切なことは分かっているけれど、どうつなげて、どう考えればよいのかが分かりにくい」という声も多く聞かれます。また、支援に携わる側からは、「専門分野や資格、経験年数の違いによって子どもの見方や捉え方にバラツキが生じ、チーム内で共通の視点を持ちにくい」という悩みも聞かれます。さらに、日々の記録や評価が、「書くこと」や「報告すること」で終わってしまい、次の支援や関わり方の活用、判断に十分につながっていないという課題も多く見受けられます。
こどもいろメソッドは、そうした“分かりにくさ”を整理し、現場で使える形に翻訳した支援フレームです。
≪こどもいろが目指す支援≫(価値・安心)
こどもいろメソッドが目指しているのは、「できることを増やす」ことだけではありません。「安心して過ごせること」、「自分の気持ちを大切にされること」、「少しずつ挑戦できること」、「自分らしい力を伸ばしていけること」、そうした土台を整えながら、子ども・家庭・支援者が一緒に育ちを見つめていく支援(子ども中心・多層発達支援モデル)を大切にしています。
≪発達の遅れ・バラツキを「整える」考え方≫
こどもいろでは、子どもの行動や様子を「問題」として捉えるのではなく、心・体・考え・関係・環境の間で起きている“噛み合わなさ(ズレ)”として愛着理論・感覚統合理論・行動科学(行動分析学)・SELの理論と結びついて理解してます。そのズレは、発達のペース、感じ方や考え方、過去の経験、周囲の期待や環境、人との関係性など、さまざまな要因が重なって生まれます。
こどもいろメソッドでは、子どもを無理に変えたり、行動だけを抑えたりするのではなく、関わり方や環境を整え直すことで、その子の力が自然に発揮される状態をつくることを大切にしています。この考え方は、自立活動の考え方「心身・言動の発達等の調整(調律)」や理論の実践の「支援の仕方・言葉かけの方法(翻訳)」という言葉で表しています。
≪過去・現在・未来をつなぐ支援≫
こどもいろメソッドが大切にしているのは、「今の姿(言動の表出)」だけで子どもを判断しないことです。こどもいろでは、今、何が起きているのか(現在)だけではなく、これまでどんな経験をしてきたのか(過去)、これからどんな力が育っていきそうで、ねらいや目標を定めていくのか(未来) この三つをつなげて考えることで、子どもを「困った存在」ではなく、成長の途中にいる一人の主体として理解する。これを4次元的な捉え方で考える(4次元発達接続モデル)ことを共有しており、ヴィゴツキーの発達観・発達の連続性の理論やブロンフェンブレンナーのエコロジカル・システム理論(生態学的発達理論)と結び付けて考えています。
≪現場で「使える」ことを重視した整理≫
こどもいろメソッドは、新しい理論や特別な技法を増やすことが目的ではありません。これまで大切にされてきた考え方、さまざまな専門分野の視点、日々の実践で積み重ねられてきた経験を尊重しながら、共通の見立て方・考え方として整理しています。そのため、職員間での支援の考え方が揃いやすくなる、記録が「書くため」ではなく「次につなげるため」のものになる、こどもいろでは判断接続型記録方法として、レッジョエミリアの記録(ドキュメンテーション)の考え方を参考にしています。評価ではなく子どもを理解し続けるための、あくまでもツール(道具)として利用することで、家庭や関係機関とも共通の言葉で表すことで、子どもの育ちを共有しやすくなるといった効果が期待できます。
≪こどもいろメソッドが大切にしている考え方≫
こどもいろでは、発達の遅れやバラツキ、社会や関係性との噛み合いにくさを、はじめから「特別なもの」として切り分けて捉えることはしていません。
ただし、この「特別ではないと考えて対応すること」そのものが、見方によっては高度で専門的な関わりとなり、結果として“特別な対応”に見えることがあるとも考えています。子ども一人ひとりの状態を丁寧に読み取り、背景にある要因を整理し、その子に合った関わり方や環境を選び取るためには、発達に関する知識、実践を通して培われた経験、子どもを一面的に見ない意識、状況に応じて対応を調整できる力が必要になります。発達支援において大切なのは、「特別なことをするかどうか」ではなく、どれだけ丁寧に見立て、考え、関わることができるかです。
こどもいろメソッドは、こうした知識・経験・意識・対応力を、誰もが共有し、再現できる形に言語化・整理したものです。そのため、保育所保育指針、幼稚園教育指導資料、教育要領、特別支援学校の自立活動、児童発達支援・放課後等デイサービスの各ガイドラインに示されている考え方や視点を、現場で「実際にどう考え、どう関わるか」まで落とし込める形で表現しています。
こどもいろは、新しいことを付け加えるのではなく、これまで大切にされてきた理念を、現場で再現できる支援としてつなぎ直すことを目指しています。
【こどもいろY先生】
【関連参考理論、関連参考資料、関連参考人物 等】
児童発達支援ガイドライン、放課後等デイサービスガイドライン、障害児支援施策について、障害者総合支援法/児童福祉法、保育所保育指針、幼稚園教育要領、小学校学習指導要領、特別支援学校学習指導要領(自立活動)、感覚統合理論、神経発達・脳科学 // 応用行動分析、SEL・CASEL、レッジョエミリアアプローチ・ドキュメンテーション、エコロジカルモデル // ピアジェ、エリクソン、ヴィゴツキー、ブロンフェンブレンナー、ボウルビー、エインズワース
